肘の痛み

パソコンとテニスは肘の痛みと関係があるのか?

テニス​

テニスでボールを打つ動作は、フォアハンドストロークとバックハンドストロークで異なる。

外側上顆炎の疼痛は特にバックハンドストロークで著明になる。バックハンドストロークでは、インパクトの際にボールから強い掌屈力を受ける。そのため掌屈力に打ち勝つ強い背屈筋力が必要になる。この背屈に作用するのが、前腕伸筋群である。前腕伸筋群は遠心性収縮を強いられ、強い負荷が加わる。

パソコン

キーボードを打つ動作では中手指節関節(MP関節)の屈曲動作が生じる。手内在筋はMP関節の屈曲に作用するが、近位指節間関節(PIP関節)と遠位指節間関節(DIP関節)には伸展に作用する。キーボードを打つ時にはPIP関節・DIP関節は屈曲位となるため、主に作用するのは、浅指屈筋と深指屈筋である。

浅指屈筋は上腕骨内側上顆と尺骨から起始し、深指屈筋は尺骨から起始する。そのためこれらの筋が過度に収縮しても上腕骨外側上顆にストレスは加わらない。

しかし、浅指屈筋や深指屈筋を有効に作用させる時には、手関節を背屈位とする必要がある。手関節を背屈位にすることで、両筋の筋長が長くなり、張力が高くなるためである。これを腱固定作用という。手関節を背屈位に保持する筋は、前腕伸筋群であり、上腕骨外側上顆から起始する。そのため、長時間キーボードを打ち続けると、前腕伸筋群の筋張が高くなり、外側上顆炎となる事がある。

掲載日:2019年09月11日

肘の痛み・野球肘​

野球肘​

力強くボールを投げようとすると、肘関節に外反負荷が加わる。

この外反負荷を内側側副靭帯が制動しているため、内側側副靭帯の損傷により、肘関節の外反不安定性は増加する。特に投球によって、前斜走線維束の後方部分を損傷する事が多く、肘関節を70°程度屈曲した状態での外反ストレステストが陽性になる。

長掌筋、橈側手根屈、円回内筋、尺側手根屈筋、浅指屈筋の5つの筋は共通の起始腱をもち、内側上顆から起始しており、外反制動作用をもつと考えられる。

そのため、外反制動機構破綻した肘関節に対する運動療法では、これらの筋力強化が重要になる。

掲載日:2019年09月11日